詩境日乗

情想を気まぐれにつづります

2020/12 正月の歌

残響の空 呂色薙ぐ新し若日 欣幸の光の下
暁鼓どくりどくり 笑む安如 美を喰らうのか
錦絵の如 箱の中の宴 翻筋斗を打つ海老の茜
酔いは豪気に 毬の刺繍は精彩に こぼれゆく三箇日
空見ゆ二日 琥珀のまどろみ 丹紅の酒杯に淑気
騒擾のあと 倦む人の目ふたつ 鼾声は ほろ苦く協和
水に花を浮かべ祈る日日に 骨と肺だけになって息をつなぐ日日に 喜懼の声をあぐ
苦惨たる吾 日の丸を両目にあてがい 憂い顔 あかんべえ
坤輿に埋かる冀望 亜麻色に耀う 心こそかはらかに
涙欄干として 時代去んぬる時 花吹雪く三箇日
丑おどる年 吾が黒星に夢咲けり 斜陽射す三箇日