詩境日乗

情想を気まぐれにつづります

美しい夢見たぞ

余りに美しかったので夢日記を書こうと思ったんだ。

 

教室にいた。座るか立つかして周囲をきょろついていた。有色人種の子供がたくさん席についていた、暗い顔つき。湿気を感じた。自分はその一員だった。やがて一人と目が合って、その子供は不安な顔でこちらを見返した。

私は下校する時間だった。教室で姉のような人が膝をついて私の身支度をした(この夢で私は姉のような人を持っていた)夢の中で私は幼いようだった弱いようだった。姉は白い上着の象げ色の包み釦を留めた。姉は急ぐようだった。

子供は皆席についてじっと無表情に身支度を見ていた。薄暗かった。教室は木造のようだった異様な湿気を感じたので、雨が降っていたような気がする。

 

教室の風景が遠のいて空間が急激に狭まった。空間が粘り気を帯び出して、そして鎌風のようなものが始まったが、それは粘り気の所為か鈍い勢いで私の周囲の空間を、削るように切り取りだした。最終的に空間は不規則な錐体になって微動していた。なので半透明の残像が幾つも生まれた。残像は全て消えずに夢を見ている間いつ迄も重なり合い続けた。これが少し窮屈で朦朧とした。

私は持ち物が多かった。蓋のない箱の中に宝玉がザクザク入っていた。姉のような人の同輩が周囲に立って私の品物を見ている。

姉は靴を履かせようとした。変な靴だった。踵が透明で他は暗色で硬くトーシューズに似た形の靴だった。私は前を透明にして履きたいと思った。そして私は次の瞬間に、姉が踵とつま先を反対にして履かせようとしていると思い込んだ(夢の中で私は幼かったので自己中心に物事を捉える状態を作ったのかもしれない)姉は苛れた。私は不機嫌になって怒った。すると靴の先の皮がばねのようにめくれ飛び出した、私の怒りが靴に伝播したかのように。心の小人がくすぐり騒ぐ、みたいな魔術を感じた。

靴の中に宝玉を入れようと思った。こう思った瞬間から靴の向きはどうでもよくなって、姉のような人の促す通りに履くことにした。

箱から靴へ宝玉を移動した。輝いていた。色とりどりの宝石が美しく金色に揺らめき、熱を帯びていたのが、芸術に出てくる太陽みたいだと思った。深いオレンジの琥珀が目についた。宝玉を手で搔き集めて靴の中に入れた。宝玉は重かった。金が混じっているかと思われた。私は小さい足をしていた。やはりこの夢では子供だった。靴を履いて足の甲にも貴石を蒔いた。姉のような人は困っているようだった。私は、全ての宝玉を靴に隠して徒歩で帰るつもりで居た。

ここで目が覚めた