詩境日乗

情想を気まぐれにつづります

2020/10/23

術の畢んぬ十二時半 埃がたまってゆくばかり
昇汞錠飲む白痾人 次こそは死ぬと覚悟して
乙う陽狂気取った子 御空の藍に咄と吐く
夜は黒鶴の如き暗 月を傷める娑婆の風
昇汞水中電波虫 今吾の眼晴に白星か
はて黒星か なあ波旬 罅隙の奥の疽が笑う
音痴 瞽人の歌は百合 白化悪魔に酒を沃る
地獄の底から朱鷺の群 世界は夢幻の朝朗
毒鼓鳴る鳴る舌を噛む 佯死でもよい陽を掴め